こんばんわ管理人のしょーやです。
KDDIの田中社長は4月30日に開催された決算発表会において、2014年内に開始予定のVoLTEにおいてCSFB(SRVCC)はなしで展開予定するという発言をしました。
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まず本題に入るために、VoLTEやCSFB(SRVCC)について知っておく必要があるので説明させていただきます。
下記のハイパーリンクはSource以外すべてどこブロの過去記事となります。


■用語説明
1.VoLTE(Voice Over Long Term Evolution)
LTE網を利用した音声通話の技術です。
ボルテ、ヴォーエルティーイーなどと呼ばれます。(僕はボルテって呼び方嫌い!)
現在は主に3Gを利用して音声通話が行われています。
LTEは現在データ通信のみで利用されていますが、このVoLTEが実現すればLTEでデータ通信と音声通話両方を行えるようになります。
また、このVoLTEは音声をデータに変換して通信するため音質が今までより向上すると言われています。

2.SRVCC(Single Radio Voice Call Continuity)
日本語訳で単一無線音声通信継続を意味します。
簡単に言うと、技術的にはCSFBと技術は似ていて、LTEから3Gに切り替わった(ハンドオーバー)時においても途切れずに通話が継続可能な技術です。
特にVoLTE時にはCSFBよりこちらのSRVCCという語句を用いることが多いようです。

3.CSFB(Circuit Switched FallBack) 
現在このCSフォールバックが利用されています。
CSFBはLTEと3Gの両方に対応しており、現在LTEでは音声通話が行われていないため、このCSFBを使い発着信時に自動的に接続先をLTEから3Gに切り替えて3G方式の携帯電話として通話を行う技術です。
あくまでVoLTE化するためのつなぎとして利用されており、VoLTEに完全に移行(SRVCCなし)するとこの技術は使われなくなります。

au(KDDI)のスマートフォンで音声通話中にネットが見れないことについて解説!
現在auのみ音声通話中にデータ通信が行えませんが、これには理由があります。
CSFBで音声通話時はどのキャリアも3G接続となります。
ドコモ、SoftBankはW-CDMA(UMTS)、auはCDMA(CDMA2000)という違う3G方式を利用しています。
W-CDMAは音声通話時にデータ通信が可能なのですが、CDMA2000はデータ通信が出来ません。
これがauのWiMAX端末を除く端末で、音声通話時にデータ通信が利用できない理由です。
ドコモ、SoftBankはW-CDMAは音声通話時にデータ通信が出来ますが、こちらは3G接続で音声通話時にLTEでの通信が出来る端末はほぼないようです。

LTEの規格に関しては、3社ともFDD-LTEを利用しているのでVoLTEが導入された場合3社とも通話中にデータ通信が行えるようになります。 



■SRVCC(CSFB)を利用せずにVoLTEを行うには?
VoLTEを導入するためには2つのパターンが有ります。
  • SRVCCを利用する方法(LTEエリアが不十分な場合)
    SRVCCは先ほど説明したとおりLTE→3Gに変わった時も通話を継続できる技術です。
    LTE→3Gに切り替わるということはLTEエリアのカバー率がまだ広くないということを意味します。
    つまりSRVCCを利用する場合はエリアがまだ不完全な場合に用います。
    NTTドコモは夏頃からSRVCCを利用する方向でVoLTEを導入すると考えられます。
    理由としてはNTTドコモはLTEエリア展開がまだ不十分と言う理由からとなります。
     
  • SRVCCを利用しない方法(LTEエリアがほぼ十分な場合)
    こちらはSRVCCを利用しないということなので、3Gにほぼ落ちない程度のLTEエリア構築ができている状態でなければ実現できません。
    KDDIは先日800MHz帯のLTEエリアの実人口カバー率が99%を達成しており、LTEエリアに関してはかなり広いということがわかります。
    そのためKDDIはSRVCCなしでVoLTEを展開することが可能なのです。
    田中社長のCSFBなしでVoLTEを導入するという発言は、KDDIのエリアカバー率が他社を群抜いているということを示す発言でしょう。 
     
またドコモやSoftBankの3G方式はW-CDMA(UMTS)という世界的に見てメジャーなものですが、KDDIが採用しているCDMA2000は世界的に見てもマイナー規格となっています。
その上通話中にデータ通信ができないという問題があるため、KDDIはこの負の遺産を捨てたいという現れにも思えます。
VoLTEがSRVCCなしで安定に運用できれば3Gがなくても問題無いですからね。
もちろん機種の移行が終わるまでは、現段階でCDMA2000を捨てることが出来ません。
CDMA2000が廃止されるのは当分先になるでしょうが、そちらの帯域をLTEに利用すれば更に高速な通信が可能となるので、個人的にKDDIの新サービスの導入やビジョンはとても良いのではないかと思っています。



■NTTドコモへの新料金プランへの対抗は?
先日NTTドコモが通話料定額の新料金プランを発表しましたが、KDDIは急ぎで新料金プランを導入するということはないようです。
しかしVoLTE導入のタイミングで新料金プランを徹底的にやろうと思っているそうなので、年内にVoLTEを導入するKDDIの新料金プランの発表はそう遠くないように思えます。
またNTTドコモの新料金プランはとても斬新なので、ユーザーの反応を見てからKDDIがどのようにすればいいのかを見極めてから、良いと思えるタイミングで良いプランを発表する予定だそうです。

少なくともKDDIは夏にLTE-AdvancedのキャリアアグリゲーションとWiMAX2+(スマホに)が導入される予定なので、夏はKDDIもドコモも忙しくなりそうですね。

また田中社長は、VoLTEだから音声サービスを低料金にできるという相関関係はあまりない。
機能面では音質向上や低遅延、ビデオコールやデータ通信との連携という機能が新たに加わると発言しています。
VoLTEの本命はデータ通信との連携ではないかと発言しており、安易な料金競争を回避したい思いもあるようです。



■まとめ 
KDDIのVoLTEはドコモのよりも凄いものとなりそうですね。
特にSRVCCなしで行う予定であるというのは本当にびっくりしました。
そう考えると、 プラチナバンド帯の800MHz帯を唯一メインバンドで利用しているKDDIのLTE展開は後々このような新サービスを利用するのにとてもよいものではないかと思います。
夏にはまずCAとWiMAX2+があるのでそちらがどのようになるか気になりますね。
2014年はVoLTE、LTE-Advanced等の新サービス展開の元年となる年となります。
これから通信事業者がどのように新サービスを使っていくのか期待したいと思います。
今回はVoLTEに関して詳しく説明させていただきました。
記事は以上です。 
Source:IT Pro by 日経コンピュータ